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セカンドオピニオン

 先日、駿台・八王子校の医系論文授業授業で山梨大医学部の2007年出題を取り上げました。テーマはセカンドオピニオンです。
 セカンドオピニオンとは、患者が診療に関する情報を他の医師からも入手する仕組みを言います。患者は複数の情報を得ることで、最良の選択ができます。患者本位の医療をさらに進めていくのが、セカンドオピニオンのねらいです。ちなみに、山梨大医学部の昨年の出題テーマはCS(化学物質化敏症)でした。医療に関する時事問題を取り上げ、受験生の社会に対する関心と理解をみるのが狙いだと思われます。
 さて、セカンドオピニオンの必要性は誰もが認めるところですが、実際には課題も少なくありません。課題文では、筆者の言葉を借りて、セカンドオピニオンに消極的な医師の姿が映し出されていました。セカンドオピニオンを求めるには、いま診療している第1医師の紹介状と彼がもつ患者に関するデータを、第2医師に提出しなければなりません。筆者はそれが簡単にいかない現状を嘆きます。
 設問は、セカンドオピニオンに際して、医師はなぜ出し渋るのか?セカンドオピニオンを定着させるには、どのような医師と患者との関係が必要か?と問いかけます。受験生には難問かもしれませんが、なかなかの良問です。ここでは「答え」を出さないので、自分の頭で考えてみましょう。
 セカンドオピニオンを実施している病院では、その条件をいくつかあげるのが通例です。たとえば東大病院では「主治医が了承していない場合」は、「セカンドオピニオンをお受けできない」と明示しています。それは、この仕組みが、医師に対する不信ではなく、信頼を基盤とするものだからです。この出題が問うのは、医師と患者との信頼をどうく上げていくかということでもあります。
 不信を基盤とした場合、セカンドでは足りず第3、第4、第5・・・の意見を求め、病院・医師を渡り歩くドクター・ショッピング(ドクター・ハンティングともいいます)に陥ります。まったくの偶然ですが、信州大医学部の2007年の論文がこのドクター・ショッピングを出題しました。これもいずれ医系論文の授業で取り上げる予定です。
 近接した出題となったのは大河ドラマ「風林火山」つながりなのかも・・・
 
 
by sosronbun | 2007-10-30 08:55 | 医系論文


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