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泣かせる答案

 昨日は医系論文の採点会議がありました。答案を添削・採点する先生方も参加して、いろいろな感想や意見を述べてくれるので、ボクにとっては勉強になる貴重な機会です。その中で、前期のテストの答案には泣かされた・・・という話がありました。もちろん悪い意味ではなく、良い意味で本当に泣かされたということでした。
 それはボクが出題した問題に対する答案で、難病の妹さんを抱えるお姉さんに「手紙」を書くという内容です。他者の痛みに対する気づきと想像力を発揮し、相手の心に届くような「手紙」を書いてほしいという難題です。ボク自身も解答例を書きながら、自分の気持ちや表現にもどかしさを感じながら相当に難儀しました。
 そういう出題で採点する先生方が泣かされたということを聞いて、ボクは本当に安心しました。答案を書いた生徒たちは、見ず知らずの姉妹の苦悩にまっすぐ向き合い、ともに悩み、もどかしさを感じつつも何とか言葉をつむごうとしたのでしょう。無理・無駄かも知らないけれど、やれるだけがんばる・・・その賢明さが泣かせる要因の一つです。泣かせる答案を書けるというのは、単に偏差値が高いだけでなく医療者としての適性を備えているともいえます。それが安心の理由です。
 それだけでなく、ボクら教える側の責任の重大さも痛感しました。それは、泣かせる答案を書くほどの生徒の地力と可能性を、どれだけ引き出せるかという責任です。もちろん社会科学系の論文では、出題のテーマや内容をみても泣かせる答案を書くことはできないかもしれません。しかし、テーマへの関心や問題解決への意欲を引き出すことはできるはずです。
 いま冬期・直前の問題を作成中ですが、泣かせる答案はともかく、気持ちが入った答案を引き出せるよう、「もっともっとがんばらなければ、あかん」と思ったしだいです。
 
by sosronbun | 2007-09-17 23:23 | 医系論文


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