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慶大法 冬期・直前講習

 ああ、ものすごく忙しい・・・社会科学系論文と医系論文の授業の合い間に、毎週計140枚の答案を添削するだけでもタイヘンなのに、進行が大幅に遅れている個人情報保護研修(神奈川県との協働事業)のテキストやNPOのニュースレターを仕上げなければなりません。おお、それだけではない、社会科学系のテストの解答例・解説2本もあった。他の仕事もメールで催促が・・・。後先を考えずホイホイ引き受けた自分が悪い。「自縄自縛(自爆?!)」ってやつです。
 そのように追いまくられていると、ずいぶん先の話のように思えてくるのですが、もう冬期・直前講習の申込みが始まりました。駿台でボクが担当するのは慶大法の論述力試験対策です。以下に日程・場所を載せておくので、早めに受講申込みをしてくださいね。特にお茶の水の直前講習は、昨年定員オーバーで追加講座を増設したくらいなので・・・詳しくは駿台のホームページをご覧ください。

 ○冬期講習(4日間)
   お茶の水:12/15~/18(17:00~19:50)
   横浜:12/24~/27(17:00~19:50)
 
 ○直前講習(2日間)
   お茶の水:1/22・23、1/28・29(いずれも17:30~20:20)
   横浜:1/24・25(9:30~12:20)

 冬期講習で3問、直前講習で2問の演習テストにチャレンジしてもらいます。どこかの料亭とは違って「使い回し」は一切なしで5問すべてが新作です。んっ、この原稿を誰が書くの?・・・ ハイ、それもワタクシです。でも、どんなに追いまくられていても「全力中年」は「省エネ」なんてしないので、期待していてくださいね。
 来週9/23は秋分の日で休講日だったのですが、山形・酒田の仕事を入れてしまいました。いつになったら、ボクは休めるのでしょうか。
 
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by sosronbun | 2008-09-18 15:52 | お知らせ

時間観と豊かさ

 早大商9月入試の小論文の問題を入手しました。課題文(問題文)はイヌイットの人々の時間とのかかわりや考え方について書かれたもので、設問は以下のとおりです。

(1)問題文の傍線部(Y)「欧米時間」を説明し、その「欧米時間」との関係で、イヌイットの人々の時間とのかかわり方を要約しなさい。さらに、傍線部(X)「現在志向的」とはどういうことかを述べなさい。あわせて400字以内で記述すること。

(2)筆者は、次の文章に続く箇所で、人間にとっての豊かさに思いを馳せています。筆者が考える「豊かさ」とはどのようなものであるのかを左の文章の文脈に沿って読み解き、書きなさい。さらに、そうした筆者の考え方に賛成か否かを、その理由も挙げつつ、なるべく具体的に述べなさい。あわせて、600字以内で記述すること。

 出典は2007年春と新しいのですが、ずいぶん昔に出た『パパラギ』という本をほうふつとさせる文章です。『パパラギ』は南海の酋長ツイアビの話で、今回の課題文は北海のイヌイットという違いはありますが、文明社会と比較して時間観等の価値観の違いを考えさせる趣旨はまったく同じです。
 設問(1)の「欧米時間」とは「一方的に流れ、行動を束縛される」ような時間のことです。また、「時の流れを物理的な感覚で切断した人工的な時間」ともいえます。これに対してイヌイットの人々の時間は、「周期的に変化する自然の中での体験に基づく」もので、彼らは「自然の変化を指標として利用し、自分たちの行動を決定する」そうです。
 かつて慶大総合政策の小論文で時間観が出題されたことがありますが、そこでは「時間の矢」と「時間の環」という対極的な時間観が示されていました。どちらが「欧米時間」またはイヌイットの時間なのかは、わかりますよね。
 設問(2)はこうした時間観を豊かさ論につなげる問題ですが、筆者はイヌイットの人々のように自然の時間の中で生きることを人間にとっての豊かさと考えるはずで、根拠をあげつつ、これへの賛否を述べればよいので、それほど難しくはなかったかも。
 この記事を書きながらボクのアタマの中で流れているのは、そう「南の島のハメハメハ大王」(伊藤アキラ作詞・森田公一)という曲です。女王は朝日の後で起きてきて、夕日の前に寝てしまい、子どもたちは風が吹いたら遅刻して、雨が降ったらお休みで・・・というフレーズがあります。いくつもの締め切りに追われ「欧米時間」の中であえぐボクからすると、実に実にうらやましい世界です。でも、女王や子どもたちを「なんて怠け者なんだ」と怒る「欧米時間」の人もいるでしょう。雨が降っても、ひょっとしたら台風が来ても予備校を休めない受験生の皆さんは、この問題をどう考えますか?
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by sosronbun | 2008-09-15 10:20 | 社会科学系論文

チュートリアル教育

 弘前大学医学部のAO入試では、医学部で行われているチュートリアル教育の紙上版のようなテストが実施されるそうです。入試要綱ではこれを「ケーススタディの自学自習」と表記しています。そもそもチュートリアル教育とは何かがわからない人もいるかもしれません。そこで、この大学で実際に使用されたシナリオの一部を以下に紹介しましょう。

 「中学2年生の弘子さんは、部活でソフトテニス部に所属しています。弘子さんは牛乳や肉が嫌いなど食べ物に好き嫌いがあり、また運動の後にペットボトルの炭酸飲料を飲み過ぎて、あまり食事ができないこともありました。……この頃はすぐに疲れてしまい、立ち止まって休むことさえあります。
 とうとう部活の練習中に気分が悪くなり、保健室で休憩することになりました。保健室の先生は弘子さんの顔色をみて医者に行くようにといいました。昔から顔色は白いほうでしたが、そう言えば「この頃少し顔色が悪い」と皆から言われていました。
 次の日、弘子さんはお母さんと一緒に在府内科小児科へ行きました。診察室にいたのは男の先生で、初潮の時期や生理の期間など、中学生の女の子には聞けないようなことを平気で聞きます。それに指の爪をみて「きれいな爪だね」と言った時には,弘子さんは背筋がぞっとしました。……」
(中根明夫「「チュートリアル教育」-勉強の仕方を学ぶ-」「弘前大学における教育」-最近のトピックス-)
 
 皆さんはこの中にどのような問題を発見したでしょうか?求められているのは主体的な問題発見であり正解はありません。「正解」は一人ひとりの頭の中にあるのです。
 これは問題の[発見→分析→解決]の力をつける総合学習にも近いものといえます。ゆとり教育や総合学習は学力低下批判にさらされましたが、それにより、こうした知的探求方法に習熟する機会を子どもたちが失ったことはかえすがえすも残念です。
 慶大法2006年の出題は、若者の「問う能力」の欠落を指摘し、これを「知的難民」と表現した課題文が出題されました。チュートリアル教育が必要なのは医学部だけではありません。
 
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by sosronbun | 2008-09-04 16:56 | 医系論文