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倫理と法律

 今日から駿台の冬期講習「慶大対策論文<法学部>」が始まりました。第1日はテキスト掲載のオリジナル問題のうち2問を解説しました。風邪でのどがやられていて、けっこうしゃべりづらく、受講生は聞きづらかったかもしれません。
 授業の内容は例によって「企業秘密」ですが、一つくらいはテーマを明かしても良いでしょう。それは、倫理と法律です。慶大法は法学部らしいテーマをあまり出題しないのですが、法学部を受ける者の素養として、倫理(道徳)と法律との関係くらいは考えておいた方がいいかも・・・ということで授業で簡単な解説をしました。
 倫理は個人の内面的な規範で、法律と異なり規範を守らせるための強制力がありません。一方、法律は国家が強制力をもって、個人や団体に規範を守らせようとします。こうした基本的な違いとともに、それぞれの長所と短所を理解しておくと良いでしょう。すべてを倫理に委ねれば、基本的な約束事すら守られず社会は混乱するかもしれません。かと言って何から何まで法律で規制するような社会はとても窮屈で、場合によっては危険ですらあります。
 どういう場合に倫理で、または法律で対処したら良いのでしょう?授業でふれた代理出産の場合は、どう考えるべきでしょうか?自分自身の考えを整理しておきましょう。最近、動物、鳥へのエサやり禁止条例(罰則あり)が荒川区で制定されましたが、これも格好の素材ですね。
 現代日本の風潮は他者への寛容性が弱くなり、何でもかんでも法律で取り締まることを求めがちです。問題を起こす個人・団体も話し合いや説得の通じない人たちが多く、それが法律という絶対的規範への依存を高めています、経済分野では規制緩和が進められてきたのに、生活分野では逆に規制強化が強まる矛盾がみられます。このような世の中への関心と、問題解決への意欲を問うのが慶大法の論述力試験なのです。「そんなの関係ねえ」という人は他の大学(W方面?)に行けばいいかも・・・
by sosronbun | 2008-12-15 23:50 | 社会科学系論文


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